施工管理の退職金はいくら?準大手ゼネコン10年目の実額と確認方法

「施工管理の退職金はいくらになるのか」——就業規則を読んでも計算式が複雑で、将来額まで把握している人は多くありません。私も勤続10年を迎えてから人事へ確認し、初めて現在の数字を把握しました。

結論:私の10年目の確認額は約250万円。ただし将来額ではない
準大手ゼネコンに勤める私が人事へ確認したところ、勤続10年時点の退職給付に関する現在額は約250万円でした。これは私の勤務先・職位・確認時点に限った実例で、建設会社全体の平均でも、今すぐ退職した場合の手取り額でもありません。
退職時の支給額は、勤務先の退職金規程、確定給付企業年金(DB)等の制度、勤続年数、退職理由、受取方法で変わります。将来の金額を知りたい場合は、一般的な相場よりも自社の規程と人事・年金窓口の試算を優先してください。
この記事では「筆者の実額」「国の統計」「制度上の確認事項」を分けます。以前掲載していた30年後の一律試算や、夫婦の年金額を決めつける表現は使いません。
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」では、勤続20年以上・45歳以上の定年退職者を対象に退職給付額を集計しています。筆者の10年目の数字とは対象条件が違うため、単純比較はできません。
退職一時金・DB・企業型DCは別の制度
日常会話ではまとめて「退職金」と呼びますが、会社が直接支給する退職一時金、将来の給付内容を労使合意で定めるDB、拠出額と運用結果で受取額が変わる企業型DCでは仕組みが異なります。勤務先が複数制度を併用している場合もあります。
| 制度 | 金額の決まり方 | 最初に確認する資料 |
|---|---|---|
| 退職一時金 | 会社の規程・算定式・退職理由等で決まる | 就業規則、退職金規程 |
| 確定給付企業年金(DB) | 規約で定めた給付内容に基づく | DB規約、給付見込額通知 |
| 企業型確定拠出年金(企業型DC) | 拠出額と本人の運用結果で変動 | 加入者サイト、残高通知 |
厚生労働省は、DBを「将来の年金給付の内容が労使合意により決められ、事業主が必要な掛金を拠出して積み立てる制度」と説明しています。だからといって、各社の将来額が同じになるわけではありません。
公的統計の平均額は「施工管理の相場」ではない
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者について、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の平均退職給付額は制度計1,896万円でした。制度別では、退職一時金制度のみ1,623万円、退職年金制度のみ1,801万円、両制度併用2,261万円です。
| 対象・制度 | 平均額 |
|---|---|
| 大学・大学院卒(管理・事務・技術職)制度計 | 1,896万円 |
| 退職一時金制度のみ | 1,623万円 |
| 退職年金制度のみ | 1,801万円 |
| 退職一時金・退職年金の併用 | 2,261万円 |
平均値は、自分の会社の制度が極端に違わないかを見る参考にはなります。しかし、勤続年数や企業規模、制度構成の違いがあるため、「30年働けば必ず1,896万円」とは読めません。
私の約250万円は10年目の個別確認値です。これを単純に3倍して30年後を予測すると、昇格、算定係数、制度変更、退職理由などを無視することになります。将来試算は勤務先の正式な算定方法で確認します。
特に「積立額」「自己都合退職時の支給額」「定年時の見込額」「年金で受け取る場合の現価」は同じ数字とは限りません。人事へ質問するときは、何を表す金額かまで確認してください。
私が確認した際も、金額だけでなく制度名と計算の基準日を聞くことで、ようやく家計計画へ使える情報になりました。社内資料を公開できないため、この記事では会社を特定できる算定係数は掲載していません。
なお、退職金の多寡だけで転職の可否を決めるのは危険です。今後の賃金、働き方、企業年金、退職時期などを合わせて比較する必要があります。
自分の退職金を確認する5項目
確認は「相場を検索する」より、自社資料をそろえる方が正確です。就業規則や退職金規程を閲覧できる場所が分からなければ、人事・総務へ確認します。
| 確認項目 | 質問の例 |
|---|---|
| 制度の種類 | 退職一時金、DB、企業型DCのどれを採用・併用しているか |
| 現在額 | 表示される金額は積立額か、今退職した場合の支給見込額か |
| 将来見込額 | 定年時の試算を出せるか、前提となる勤続年数・職位は何か |
| 途中退職 | 自己都合・会社都合で算定式や支給条件がどう変わるか |
| 受取方法 | 一時金・年金・併用を選べるか、手続期限はいつか |
確認した内容は、日付と資料名を残します。制度は変更される可能性があるため、昇格、転職検討、住宅購入、50代など家計の節目で再確認するのが現実的です。
転職・中途退職ではポータビリティを確認する
DBは「原則持ち運べない」と一律には言えません。厚生労働省によると、離転職時に企業年金等の資産を他制度へ持ち運べる場合があります。DBの脱退一時金相当額も、要件を満たせば企業型DC、iDeCo、通算企業年金などへの移換が選択肢になります。
退職金の税金は控除額だけで決めつけない
国税庁によると、一般的な退職所得控除額は勤続20年以下なら40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超なら800万円+70万円×(勤続年数−20年)です。通常は、退職金から控除額を引いた残額の2分の1が退職所得となりますが、役員等や短期退職手当等には例外があります。
| 勤続年数 | 控除額の計算 | 控除額 |
|---|---|---|
| 10年 | 40万円×10年 | 400万円 |
| 20年 | 40万円×20年 | 800万円 |
| 30年 | 800万円+70万円×10年 | 1,500万円 |
| 35年 | 800万円+70万円×15年 | 1,850万円 |
「退職金1,500万円なら必ず税金ゼロ」とは言えません。同じ年や一定期間内に他の退職金・iDeCo一時金等を受け取る場合など、個別条件で計算が変わり得ます。受取時期が近づいたら、勤務先、運営管理機関、税務署または税理士へ確認してください。
公的年金は自分の「ねんきん定期便」で確認する
日本年金機構が示す令和8年度の標準的な厚生年金額は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含め月23万7,279円です。ただし、これは平均標準報酬45.5万円で40年間就業した場合の例であり、すべての夫婦が受け取る金額ではありません。自分の見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認します。
NISA・iDeCoは退職金の代わりではなく、目的と使う時期を分けて考える
NISAは売却できますが元本保証ではありません。iDeCoは掛金の所得控除がある一方、原則60歳まで引き出せず、手数料や受取時の税も確認が必要です。退職給付の不足額を出す前に、近い将来に使う資金と老後専用資金を分けます。
| 順番 | 確認するもの |
|---|---|
| 1 | 生活防衛資金と60歳前に使う予定のお金 |
| 2 | 勤務先の退職給付制度と現在・将来の見込額 |
| 3 | 自分と配偶者それぞれの公的年金見込額 |
| 4 | 毎月無理なく積み立てられる余裕資金 |
| 5 | NISA・iDeCoの制約、手数料、税金、価格変動リスク |
期待利回りを置いた30年後の試算は、前提が少し変わるだけで結果が大きく動きます。シミュレーションは将来額の保証ではなく、積立額や利回りが変わった場合の幅を見るために使います。
制度変更リスクはあるが、給付を自由に減らせるわけではない
DBの給付内容は将来変わる可能性がありますが、会社が好きな時に自由に減額できるという説明も正確ではありません。厚生労働省の法令・通知では、給付減額に理由や加入者の同意等の手続が定められています。個別制度の状況は規約と公式通知で確認します。
よくある質問
Q.勤続10年なら退職金250万円が目安ですか?
A.いいえ。約250万円は筆者の勤務先で確認した個人例です。会社の規程、制度、職位、退職理由で異なるため、自社の退職金規程と人事の試算を確認してください。
Q.DBは転職すると失われますか?
A.一律には失われません。脱退一時金として受け取る場合や、要件を満たして他の企業年金、iDeCo、通算企業年金等へ移換できる場合があります。選択肢と期限を勤務先・移換先へ確認してください。
Q.退職金が少なければiDeCoを上限まで使うべきですか?
A.上限利用が必ず正解とは限りません。生活防衛資金、60歳前に使う予定、勤務先の企業年金、所得控除の効果、手数料、受取時の税を確認して決めます。
Q.退職金の税額は自分で計算できますか?
A.概算はできますが、複数の退職金やiDeCo一時金、役員等・短期退職手当等では扱いが異なる場合があります。最終判断は勤務先が交付する書類と国税庁の最新情報を使い、必要に応じて税務署・税理士へ確認してください。