複利とは?単利との違い・計算例・72の法則と投資の注意点

タクミ複利は雪だるま式に増えると聞きますが、投資でも毎年同じように増えるんですか?
KENTA複利は計算の仕組みだけど、実際の投資の年率は一定ではないよ。利益保証とは分けて考えよう。
タクミ固定5%の計算例も、将来予測ではないということですね。
KENTAその通り。単利との違い、72の法則、費用や元本割れまで順に確認しよう。
「複利は人類最大の発明だ」という言葉はアインシュタインの発言として広く紹介されますが、信頼できる一次資料で本人の言葉と確認できるものではありません。本記事では名言を根拠にせず、計算方法と公的情報をもとに説明します。
②100万円を固定年率5%と仮定した計算例
③72の法則の使い方と限界
④投資信託で複利を考える際の費用・税・値下がりリスク
⑤「早く始めれば必ず増える」とは言えない理由
私も積立を始めた当初は、入金額に対して値動きが小さく、複利を実感できませんでした。その後の評価益は、入金時期と相場環境を含む私個人の結果です。「続けた年数だけで増えた」とは分けて考えています。
以下の計算例は、仕組みを理解するために毎年同じ率で増えると仮定したものです。実際の株式・投資信託の収益率は上下し、手数料、税、分配、売買時期によって結果が変わります。
複利と単利の違い
単利は、最初の元本だけに同じ率の利益が付くものとして計算します。複利は、過去に得た利益も元本へ加えて次の利益を計算します。預金の利息と投資商品の値上がり益は性質が異なりますが、計算上の違いは同じ考え方で確認できます。

元本100万円が毎年5%増え、その利益を全額再投資すると仮定します。1年後は105万円、2年後は110万2,500円、3年後は約115万7,625円です。2年目以降は、前年までの利益にも5%を掛ける点が単利と異なります。
計算式は「元本×(1+年率)の年数乗」です。100万円を年率5%で10年なら、100万円×1.05の10乗で約162.9万円になります。これは一定の年率を置いた数学上の試算で、10年後の市場価格の予測ではありません。
| 比較項目 | 単利 | 複利 |
|---|---|---|
| 利益を計算する基礎 | 原則として最初の元本 | 元本と過去の利益の合計 |
| 増え方の計算 | 同じ利益額を加える | 利益額も変化する |
| 利益を使った場合 | 計算前提による | 再投資しなければ効果は小さくなる |
| 実際の投資 | 一定率とは限らない | 一定率とは限らず損失もある |
100万円を固定年率5%で計算した例
| 年数 | 単利 | 複利 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 150万円 | 約162.9万円 | 約12.9万円 |
| 20年 | 200万円 | 約265.3万円 | 約65.3万円 |
| 30年 | 250万円 | 約432.2万円 | 約182.2万円 |
この例で差を生むのは、過去の利益を使わず再び計算の基礎へ加えることと、期間です。一方、途中で損失が出る投資では毎年同じ曲線にならず、開始時点や売却時点によって元本を下回ることもあります。
72の法則は「倍になる年数」の概算
72の法則は「72÷想定年率」で、資産が約2倍になる年数を概算する方法です。例えば固定年率5%なら約14.4年です。米国証券取引委員会のInvestor.govも、想定利回りから倍になる期間を見積もる近似法として紹介しています。
| 0年 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 | 25年 | 30年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 約128万円 | 約163万円 | 約208万円 | 約265万円 | 約339万円 | 約432万円 |
| 想定年率 | 約2倍になる年数 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1% | 約72年 | 物価上昇や税・費用は別に考える |
| 3% | 約24年 | 毎年3%を保証する意味ではない |
| 5% | 約14.4年 | 実際の投資収益率は変動する |
| 7% | 約10.3年 | 高い想定ほど不確実性も確認する |
72の法則に入れる年率は「約束された数字」ではありません。過去の平均リターンをそのまま将来へ当てはめたり、年率5〜7%だから10〜15年で必ず倍になると判断したりしないでください。
実際の投資では、プラスの年とマイナスの年の順序も結果へ影響します。とくに取り崩し中は、開始直後の下落が資産寿命へ与える影響が大きくなる場合があります。
金融庁は、長期投資では複利効果が大きくなると説明する一方、株式や投資信託には元本割れのおそれがあると案内しています。「長期なら必ず元本割れしない」という保証ではありません。
| 要素 | 複利計算との関係 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 値上がり・値下がり | 元本自体が毎日変動する | 目論見書、運用報告書 |
| 分配金 | 受け取るか再投資するかで変わる | 分配方針、普通分配・特別分配 |
| 信託報酬等 | 保有中の費用がリターンを押し下げる | 目論見書、交付運用報告書 |
| 税 | 課税口座とNISAで手取りが異なる | 金融庁、税務資料 |
| 売買時期 | 購入・売却価格で結果が変わる | 家計の利用時期 |
インデックスファンドの評価額が増える要因は、組み入れ資産の価格変動や配当等です。分配せずファンド内で運用を続ける商品もありますが、分配の有無だけで将来リターンや安全性は決まりません。
特定の商品名を挙げて「複利を最大化できる」とは断定しません。同じ指数を目指す商品でも、信託報酬、売買コスト、連動の差、純資産、為替の影響等が異なります。購入前に最新の目論見書を確認します。
| 毎月の積立額 | 10年 | 20年 | 30年 |
|---|---|---|---|
| 1万円 | 約155万円 | 約411万円 | 約832万円 |
| 3万円 | 約466万円 | 約1,233万円 | 約2,497万円 |
| 5万円 | 約776万円 | 約2,055万円 | 約4,161万円 |
積立額が大きく、期間が長いほど試算額は増えます。ただし、生活費や近く使う資金まで投資すると、値下がり時に売却せざるを得ない可能性があります。まず家計の黒字と必要な現金を確認します。
費用は毎年小さく見えても長期では影響します。ただし「信託報酬が最も低い商品が必ず最良」とも限りません。投資対象、連動実績、売買時の費用、為替、分配方針、利用する金融機関のサービスを同じ条件で比べます。
毎月一定額を買う積立は、購入時期を分ける方法です。価格が低い回には多く、高い回には少なく買いますが、一括投資より常に有利になる方法ではありません。複利と積立は別の概念として理解します。
口座開設キャンペーンや成果報酬リンクだけで金融機関を選ばず、取扱商品、手数料、積立設定、サポート、移管条件、個人情報の取扱いを各社公式情報で比較してください。この記事では期限を確認できないキャンペーンを掲載しません。
| 順番 | 確認すること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 毎月の収支と緊急時の現金 | 途中売却を避けやすくする |
| 2 | 使う時期と許容できる値下がり | 投資期間とリスクを合わせる |
| 3 | 商品内容・分散・費用 | 名前や過去成績だけで選ばない |
| 4 | 積立額と見直し時期 | 家族・収入・支出の変化へ対応する |
| 5 | 税制と口座の条件 | NISAと課税口座の違いを理解する |
「早く始めるほど計算上の期間が長い」のは事実ですが、今すぐ投資しなければ損と焦る必要はありません。高金利の借入返済、生活防衛資金、近い将来の支出を優先する方が適切な場合もあります。
広告の利回り例ではなく、目論見書、費用、リスク、解約・売却条件を確認します。分からない点は金融機関の公式窓口等へ確認し、理解できない商品へ急いで申し込まないでください。
複利の注意点と誤解しやすい表現
「過去100年の平均が年率○%」という説明だけでは、対象指数、通貨、配当、費用、期間、開始日が分かりません。平均が同じでも途中の値動きは異なり、必要な日に元本を下回ることがあります。数字には出典と前提条件が必要です。
暴落後に市場全体が回復した過去の例はありますが、すべての商品が必ず回復するわけではありません。個別企業や特定テーマが戻らないこともあり、世界経済の成長が自分の保有商品の利益を保証するわけでもありません。
下落時に積立を続けるか、減額・停止・売却するかは、投資目的、生活資金、商品の中身、許容できる損失で変わります。生活が苦しいときに「複利のため」と無理を続けることは勧めません。
まとめ:複利は計算の仕組みであり、利益の約束ではない
複利は、利益を再投資することで次の計算の元本が増える仕組みです。期間が長いほど固定年率の試算差は大きくなりますが、実際の投資では収益率、費用、税、分配、売買時期が結果を左右します。
| 要点 | 判断 |
|---|---|
| 複利 | 利益を元本へ加えて次の利益を計算する |
| 72の法則 | 固定した想定年率で倍になる年数を概算する |
| 試算 | 将来予測ではなく前提付きの計算例 |
| 投資信託 | 元本割れ、費用、分配、税を確認する |
| 始める時期 | 早さだけでなく家計と利用時期を優先する |
複利を活用するための一律な「正解商品」や「正解年率」はありません。まず収支と使う時期を整理し、余裕資金の範囲で、理解できる商品と費用を比較してください。
NISAを使う場合も、非課税という制度上の利点と、商品の値動きは分けて考えます。制度の最新情報は金融庁、商品の情報は目論見書と運用会社の公式資料で確認します。
新NISAの仕組みと注意点
金融庁「資産形成の基本」
Investor.gov「What is compound interest?」
証券取引等監視委員会「投資をされる方へ」
金融庁「つみたて投資枠対象商品」