2019年の自分へ|契約書にサインする前に、これだけは聞いてくれ

いつもは数字と手順の話ばかり書いています。でも今日は少しだけ、個人的な話を書かせてください。
「もし過去の自分に一言だけ声をかけられるとしたら、何と言いますか」——そう聞かれたとき、私(KENTA)の頭に浮かぶ場面は一つしかありません。2019年、ワンルームマンションの契約書を前に、ペンを持っていた自分です。
あの日の自分は、たぶん機嫌がよかった
当時の私は入社数年目。現場が少しずつ分かってきて、給料も上がり始めて、「そろそろ何か資産形成をしないと」と焦っていた頃です。
営業の人は丁寧に説明してくれました。「節税になります」「家賃保証があるので空室でも安心です」「今の年収なら審査も通ります」。数字の入った資料もありましたが、その数字がどの契約条件に基づくものか、十分に確認できていませんでした。
契約書にサインするとき、不安よりも「自分は動いている」という満足感のほうが大きかった。何もしていない同期より一歩先に行っている、そんな気持ちでした。
言いたいことは、一言だけある
その肩を掴んで、こう言いたい。
たぶん、当時の自分はムッとするでしょう。「調べた上で決めたんだ」「お前に何が分かる」と言い返してくるかもしれません。私は自分の性格を知っています。人に否定されると意地になる。
だから、質問を2つだけする
説得しても無駄なら、質問をします。答えられなければ、自分で気づくしかない。
②家賃・金利・修繕費・売却価格などの前提が変わった場合も、支払いを続けられるか?
③契約書・重要事項説明・融資条件を、第三者を含めて確認したか?
当時の私は、どちらにも答えられません。
当時の私は、営業資料以外の情報を十分に確認できていませんでした。家賃の前提、サブリース契約の条件、修繕費、売却時の価格や費用などを、契約書と公的な注意喚起で確認すべきでした。
②の答えは「営業の人が言っていたから」。もっと正直に言えば、「感じのいい人が勧めてくれたから」です。判断の根拠が、商品ではなく人でした。
高額な契約では、説明を聞いただけで結論を急がず、書面の条件と資金計画を確認する必要があります。個別の契約が適切かどうかは、物件・融資・契約内容で異なるため、本記事では判断しません。
その後に起きたこと
結果は別の記事に全部書きました。簡単に言えば、こうです。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 毎月の収支 | 家賃収入だけでなく、ローン返済・管理費・修繕費・税金などを含める |
| 賃料・保証の条件 | 見直しの条件、契約期間、解約に関する条項 |
| 売却時の条件 | 想定価格、仲介費用、残債との関係 |
| 融資の条件 | 金利・返済額・繰上返済や期限前返済の条件 |
一番きつかったのは、金額そのものではありません。親に頭を下げて、500万円を借りた日です。あのときの、電話越しの少しの沈黙を、私はまだ覚えています。
それでも「なかったことにしたい」とは思わない
こう書くと、あの日の自分を全否定しているように見えるかもしれません。でも、少し違います。
この経験を機に、家計や資産形成について調べ直すようになりました。ただし、保険の解約や投資商品の選択、資産額の目標は、家族構成、収入、契約内容、値動きへの許容度で変わります。個人の結果を他の人に当てはめるものではありません。
情けない話ですが、痛い目を見るまで私は本気になれませんでした。リベ大の動画は、実はワンルームを買う前から見ていたんです。知識には触れていたのに、行動は真逆だった。
そして、息子へ
今、私には2歳の息子がいます。もうすぐ2人目も生まれます。
将来、子どもが金融商品や高額な契約を検討する場面があれば、契約を急がず、資料を読み、分からないことを相談する習慣を持っていてほしいと考えています。
渡したいのは、取引の仕組みと条件を自分で確認し、必要なら相談できる力です。内容を理解できないまま契約しないこと、お金に関する判断を一人で抱え込まないことを、日常の会話から伝えていきます。
大きな損失を経験したこと自体を美化するつもりはありません。同じように高額な代償を払わなくても、契約前に確認・相談する習慣は身につけられます。
まとめ
最後に要点を3つだけ。
②説明する人の印象だけでなく、契約書・重要事項説明・公的な注意喚起を確認する。
③理解できない点が残る場合は契約を急がず、消費生活センター(188)など利害の異なる相談先も検討する。
確認した一次情報(2026年9月12日確認)
国土交通省「サブリース事業の適正化のための措置」
国土交通省「サブリース契約を伴う投資用不動産向け融資を受ける際の注意点」
消費者庁「資産の運用・処分は取引の仕組みや目的がきちんと納得できてから」
本記事は筆者の経験と一般的な確認項目です。個別の不動産購入・売却・融資・契約の結論を示すものではありません。
契約を前に迷いがある場合は、その場で結論を出さず、資料を持ち帰って確認してください。個別の法的効果や融資の判断については、契約内容を持参して専門家や公的な相談窓口へ相談します。