家づくり・リフォームの施工中に確認すること|施主ができる範囲と、契約・検査・保証の順番

家を建てたり、リフォームしたりするとき、契約までは慎重に考えます。ところが、工事が始まってからは、「プロに任せているから」と、確認しないまま進んでしまうことがあります。
この記事では、工事が始まってから、施主が何を確認できるのかを、公的な資料にもとづいて整理します。
購入前に確認したい資金や住宅そのもののポイントは、住宅購入の諸費用はいくら?頭金と別に確認したい税金・登記・保険・引越し費用、住宅ローンを組む前の確認事項|返済額・金利・団信の考え方、家を買う前に確認したいこと|構造・災害リスク・管理・住宅ローンで別に整理しています。この記事では、契約後から引き渡しまでの確認に絞ります。
筆者(KENTA)は、準大手ゼネコンで施工管理をしている会社員です。自分の家づくり・リフォームの経験はなく、木造住宅の施工も専門外です。 この記事の内容は、法令・国土交通省・消費者庁などの資料と、施工管理という仕事の一般的な考え方から整理したもので、体験談ではありません。個別の工事について、施工が適切かどうかの判断はしません。実際の工事は、契約書、設計者・工事監理者、施工会社、住まいの相談窓口などで確認してください。
結論:先に5つのことを押さえる
- 確認の中心は「契約書」。 工事内容、代金、工期、変更・追加の扱い、検査の時期・方法、保証が書かれているかを見る(建設業法)
- 変更や追加は、必ず書面にする。 口頭だけの約束は、追加費用のトラブルになりやすい
- 新築は、検査と保証の仕組みがある。 完了検査・検査済証、必要に応じてフラット35の現場検査、引き渡し後10年の保証。何が自分の工事に当てはまるかを、事前に聞いておく
- リフォームは、契約前の見積書と、工事中の追加費用に注意。 国の注意喚起でも、「工事中に不具合を見つけた」と言われる追加請求の例が挙げられている
- 施主が判断できないことは、工事監理者・相談窓口に聞く。 現場で、その場で判断しない
工事に関わる人と、役割
工事中は、立場の違う人が出てきます。
| 立場 | 主な役割 | 施主が聞く場面 |
|---|---|---|
| 施主(建築主) | 発注者。契約・費用の最終判断 | — |
| 設計者・工事監理者 | 図面(設計図書)どおりに工事が行われているかを確認する人(建築士) | 図面と違うのでは、と感じたとき |
| 施工者(工務店・ハウスメーカーなど) | 工事を行う会社。現場には、現場代理人・現場監督が置かれる | 工程・変更・追加費用など、日々のこと |
建築士法は、工事監理を行う建築士が、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者にその旨を指摘し、設計図書のとおりに実施するよう求めること、施工者が従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならないと定めています(第18条第3項)。
つまり、「図面と違うかもしれない」と思ったとき、確認する相手の一人は、工事監理者です。施工会社が、設計と工事監理を兼ねている場合もあるので、契約書や重要事項の説明で、「誰が工事監理をするのか」を最初に確認しておきます。
施工管理(現場監督)は、工程・品質・原価・安全などを管理する、施工者側の仕事です。設計図書どおりに施工されているかを確認する工事監理(設計者側)とは、立場が違います。(筆者の一般的な説明)
1. 契約書で確認すること
建設業法第19条は、建設工事の請負契約について、次の事項を書面に記載し、署名または記名押印して、相互に交付することを定めています(一部を抜粋)。
| 確認する項目 | 確認の例 |
|---|---|
| 工事内容 | 図面・仕様書・見積書と、契約書がそろっているか |
| 請負代金の額 | 総額と、支払いの時期・方法(前金・出来高など) |
| 工事着手・完成の時期 | 工期。遅れたときの扱い |
| 設計変更・工事の中止の申し出があった場合の定め | 工期・代金の変更、損害の負担、算定方法 |
| 天災などによる工期の変更・損害の負担 | 不可抗力の扱い |
| 注文者が完成を確認するための検査の時期・方法と、引き渡しの時期 | 施主が確認する検査があるか |
| 工事完成後の代金の支払い | 支払いの時期・方法 |
| 目的物が契約の内容に適合しない場合の責任・保証保険契約の締結その他の措置 | 保証の内容 |
| 遅延利息・違約金 | 不履行の場合の扱い |
| 契約に関する紛争の解決方法 | 相談・調停の窓口 |
また、契約の内容でこれらの項目に当たるものを変更するときも、変更の内容を書面に記載して、署名または記名押印し、相互に交付しなければならないとされています(同条第2項)。
工事中の変更は、「口頭で了承した」だけにせず、書面(またはそれに準じる記録)にしてもらう。 これが、一番大事な確認です。
リフォームの見積書
リフォームの相談窓口である「住まいるダイヤル」は、次のように説明しています。
- 契約書に添付された見積書(工事費内訳書)は、契約内容の一つで、契約後に金額を簡単に変えられない
- 契約時には、曖昧な部分を残さない。部材や機器などの仕様をあとで決めるとして、未決定のまま契約すると、後の追加請求や仕様違いの原因になる
- 訪問販売で契約した場合は、特定商取引法で決められた書面を受け取った日から8日以内(受け取った日を含む)であれば、クーリング・オフができる
2. 新築:検査と保証の流れ
建築基準法の検査(中間検査・完了検査)
建築基準法は、次のように定めています。
- 完了検査:建築主は、工事が完了した日から4日以内に、建築主事等に検査を申請する。検査は、申請を受理した日から7日以内に行われ、建築基準関係規定に適合していれば、検査済証が交付される(第7条)
- 中間検査:特定工程を含む工事は、その工程を終えたら検査を申請する。対象は、階数が3以上の共同住宅の床・はりに鉄筋を配置する工事の一部と、特定行政庁が地域・期間・建物を限って指定した工程(第7条の3)
戸建て住宅が中間検査の対象になるかは、地域(特定行政庁の指定)によって異なります。 設計者・施工者に、「この工事で、法律上の中間検査はありますか。いつですか」と聞いておけば、確認できます。
フラット35を使う場合の現場検査
住宅金融支援機構の【フラット35】の案内では、新築住宅の物件検査は、設計検査、中間現場検査、竣工現場検査を、所定の時期に行います。
- 中間現場検査は、工事途中の段階で、機構の技術基準に適合していることを現地で確認する検査
- 竣工現場検査は、工事が完了したあとの検査
- 住宅瑕疵担保保険の現場検査、または建築基準法の中間検査を、機構が定める時期に実施している場合は、中間現場検査を省略できる(機構の案内)
これは、フラット35を使う場合の話です。他の住宅ローンを使う場合に、どんな検査が求められるかは、金融機関に確認してください。
引き渡し後の保証(10年)
国土交通省の資料によると、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)により、新築住宅の売主・請負人は、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分について、引き渡しから10年間、瑕疵担保責任を負うとされています。
また、この責任を果たせるよう、事業者は、保険への加入か、保証金の供託による資力の確保が必要です(住宅瑕疵担保履行法)。契約の前後に、「保険か、供託か」「保険の場合は、どの保険法人か」を、事業者に聞いておくと安心です。
品確法の10年の責任は、新築住宅が対象です。リフォーム工事は同じ義務の対象ではないので、契約書で、保証の内容と期間を確認してください(筆者の整理。個別の保証は、契約書による)。
3. 工事中に、施主ができること(筆者の整理)
専門的な判断が必要な部分を、施主が現場で判断するのは難しいです。施主ができるのは、「確認の仕組みを使うこと」と「記録を残すこと」だと、筆者は整理しています。
| することの例 | ねらい |
|---|---|
| 契約書・図面・仕様書・見積書を、すべて手元に置く | 「何を約束したか」を、いつでも確認できる |
| 工程表を受け取り、変更があれば教えてもらう | 遅れや、順番の入れ替えに気づく |
| 変更・追加の話が出たら、金額と内容を書面(メールを含む)でもらってから、返事をする | 追加費用のトラブルを防ぐ |
| 現場に行くときは、事前に連絡する。現場に入る際は、案内に従う | 安全と、作業の邪魔を避けるため(一般的な作法) |
| 現場の様子、工事前後の写真を撮って、日付を残す | 相談するときの材料になる(住まいるダイヤルも記録の保存を勧めている) |
| 疑問は、口頭ではなく、メールや書面で、工事監理者または現場の責任者に聞く | 回答の記録が残る |
| 検査があるときは、日程を聞き、検査済証・検査結果の書類を受け取る | 検査の記録を手元に残す |
現場で、その場で判断しない。 「今決めてください」と言われたら、いったん持ち帰る。これは、契約でも追加工事でも同じです。
4. リフォームで特に気をつけること
消費者庁などの注意喚起には、リフォームの被害の例として、次のようなものが挙げられています。
- 工事契約書の提示がなく、口頭のみで強引に工事され、高額な費用を請求された
- 工事中に不具合を見つけたと言って、不要な工事をされ、追加費用を請求された
対策は、次のとおりです。
- その場で契約しない。 訪問してきた事業者の「今なら無料」といった勧誘にも、すぐに応じない
- 追加工事の話が出たら、金額・内容・工期を書面にしてから決める
- 契約時に、工事項目・数量・仕様を確定する。 見積書の「一式」は、内訳を聞く
- 迷ったら、第三者に相談する
相談先
- 住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター。国土交通大臣から指定を受けた、住宅の専門の相談窓口):リフォーム見積書のチェックなども電話で受け付けている
- 消費者ホットライン(188):契約トラブルの相談
よくある質問
施主は、現場に行ってもいいですか?
契約や、施工会社の方針によります。事前に連絡して、案内に従うのが一般的な作法だと考えられます(筆者の整理)。現場は、安全上、立ち入りが制限される場所があります。見たい日程を、あらかじめ相談してください。
図面と違う、と感じたときは?
その場で施工会社に強く言う前に、まず、図面・仕様書と照らして、何が違うと感じたのかを、写真とメモで整理します。そのうえで、工事監理者に、書面(メール)で確認してください。建築士法は、工事監理者が、図面どおりでないと認めたときの対応を定めています。
追加費用を言われたら?
金額・理由・内容を書面でもらい、契約書の変更の定め(設計変更の場合の工期・代金の変更の算定方法)と照らして確認します。その場で承諾せず、持ち帰るのが基本です。
第三者の検査を頼んだほうがいいですか?
この記事では、特定の検査サービスの評価はしません。法律上・ローン上の検査が、いつ、誰によって行われるのかを先に確認し、それ以上の検査が必要かは、費用と範囲を確認して判断してください。
引き渡し後に不具合が出たら?
引き渡しから10年以内の、構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分の不具合は、新築の場合、保証の対象です(品確法)。まず、契約書と保証書の連絡先に連絡します。解決しないときは、住まいるダイヤルなどの窓口に相談できます。
確認した一次情報
- 建設業法(第19条)、建築士法(第18条)、建築基準法(第7条、第7条の3):e-Gov法令検索
- 国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」(令和4年9月15日)、住宅瑕疵担保履行法の概要
- 住宅金融支援機構【フラット35】「新築住宅の物件検査」
- 住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)「リフォーム見積書セルフチェックのポイント」「悪質なリフォーム事業者にご注意ください」
- 消費者庁「悪質なリフォーム事業者にご注意ください!!」
本文で参照した出典は、上記の公的機関・公的な相談窓口の公開情報です。
おわりに
私は、施工管理として、現場で働いています。ただし、自分の家づくりやリフォームの経験はなく、木造住宅は専門外です。だから、この記事では、法律と公的な資料で確認できることだけを整理しました。
工事が始まったあと、施主ができることは、契約書を手元に置くこと、変更は書面にすること、検査と保証の仕組みを使うことです。それでも不安なときは、工事監理者や、住まいの相談窓口に、早めに相談してください。
この記事は、公的資料にもとづく一般的な情報で、個別の工事の施工の良し悪しや、保証の可否を判断するものではありません。